目次
2020年5月に発売から間もなく2年を迎える電子タバコ「ドクタースティック」。当初から予想よりも大きく売上を伸ばし、現在では業界シェアトップクラスの人気商品となっています。
そもそもなぜ電子タバコの販売を手掛けることになったのか?その背景とこれからの展望について、株式会社HALの代表・座波さんにうかがいました。
従来のタバコを取り巻く環境を知り、電子タバコの可能性を感じた
ーー電子タバコ「ドクタースティック」を取り扱うことになった理由を教えてください。
座波:「電子タバコ」という存在を知ったのはずいぶん前ですが、すぐに「これからの世の中にフィットしそうな商材だな」と感じました。
日本において電子タバコが販売され始めたのは2014年頃ですが、世の中の認知度を大きく上げたのは2015年9月に発売されたiQOSだと思います。
厳密にはiQOSは「加熱式たばこ」と言い、ドクタースティックをはじめとする電子タバコとは違うジャンルの製品なのですが、「火を使わず電気で吸うたばこ」という認識を一般に広めた、という意味で大きなインパクトを与えました。
たばこの種類
紙巻たばこ | 細かく刻んだたばこの葉を紙で細長く巻き上げた、いわゆる「一般的なたばこ」。 |
加熱式たばこ | たばこの葉を加熱することによって発生した蒸気を吸う。iQOSやPloomなど。 |
電子たばこ(ドクタースティック) | 液体(リキッド)を電気で加熱して発生した蒸気を吸う。国外ではニコチンを含む製品も販売されている。 |
座波:日本においては、ニコチンやタールが入っている製品を販売するには厚生労働省の許可がいるため、実質JTの独占販売となっています。
一方、ニコチンやタールが入っていない電子タバコ製品は、特別な販売許可は必要ありません。そのため、iQOSブームの前後から、海外ブランドの電子タバコが日本でも簡単に手に入れられるようになりました。
海外には500以上もの電子タバコブランドが存在しています。さまざまなブランドが乱立している当時の状況を見て「マーケティングを工夫すればもっと伸ばせるジャンルだろうな」とか「競合の数の割にはライバルは多くなさそうだな」なんてことを感じていました。
ーー座波さんは非喫煙者なんですよね。なぜ電子タバコに興味を?
座波:僕自身はタバコを吸わないのですが、周囲に喫煙者が多く、彼らと話す中で「従来のタバコ」が置かれている状況を知ったことが、電子タバコへの興味につながったように思います。
まずは、度重なるタバコの値上げです。1998年にたばこ税が導入されて以来2021年までに6度の増税があり、増税のタイミングはどんどん短くなっています。1箱が600円程度になった現在でも「諸外国に比べると安すぎる」といった議論があり、今後もさらなる値上げは避けられないでしょう。
1箱500円を超えた頃、愛煙家の友人でさえ「経済的にもうキツいかも」と言っているのを耳にし、喫煙者の経済的負担は予想以上なのだなと思ったのを覚えています。
そうした中、「東京オリンピック・パラリンピックに向け受動喫煙対策を推進しよう」とのニュースが目立つようになりました。同時に、パブリックな場においては喫煙できる場所がどんどん閉鎖され、喫煙者の友人はいつもタバコが吸える場所を探していた。世の中では飲食店での喫煙制限を法で定めようとの動きもあり、この流れはもう防ぎようがないんだろうなと感じていました。
座波:そうした世の中の変化のベースにあるのは「タバコは健康に悪い」というファクトです。
「禁煙しようかな」と言う友人たちはみな「カラダに悪いのはわかっているから、本当はやめたほうがいいんだよね」と口をそろえます。と言いながら、なかなかやめられないのもまた事実。とはいえ当時は「喫煙者って大変だなあ」と、思っていただけですが(笑)
そうしたタイミングで勤務していた会社がドクタースティックをメイン商材とした「株式会社HAL」を立ち上げることになり、「代表やらないか?」とお声掛けをいただいて「やります!」と即答しました。
電子タバコは10年前にはなかった商売。これからも新しいビジネスチャンスを見つけていきたい
座波:ドクタースティックには「コスパのよさ」「健康志向と吸いごたえの両立」「高いデザイン性」という、喫煙者が求めている要素がしっかりと実装されていましたし、長年ウェブマーケティングを手掛けていた経験から、PRの打ち出し方にも自信がありました。
ーー発売してすぐに、生産が追いつかないくらいの売れ行きを記録したと聞きました。(詳しくはこちらの記事をご覧ください)
座波:多くのお客さまをお待たせしてしまった点については反省しかないのですが、予想以上の反響をいただいたことで、ドクタースティックという商品のコンセプトや打ち出し方に自信がついたのもまた事実です。
幸運なことに、コロナ禍による巣ごもり需要や、飲食店での喫煙を制限する健康増進法の改正も大きな追い風となりました。「リモートワークで喫煙時間が増えたため、電子タバコに切り替えた」という声もよく耳にします。
喫煙者や元喫煙者がメインの顧客層ではありますが、「ニコチンやタールが入っていないならリフレッシュツールとして使用してみたい」という非喫煙者ユーザーも増えつつあります。つまりは、タバコを名乗りながらも「タバコではない」ことが魅力であり、これまでのタバコ市場にはいなかった顧客を獲得できる強みにもつながっています。
ーー今後の展望を教えてください。
座波:まずは、顧客サービスの向上や製品リニューアルを通じてドクタースティックというブランドをもっと大きく育てること。加えて、ドクタースティックのように、市場や世の中の未来にフィットした新たな製品を開拓していきたいとも思っています。
「電子タバコ」という商品がこれほど市場に支持されるなんて、10年前の日本においては誰も予想していなかったはず。幅広い興味と視野を武器に、HALはこれからも新たなビジネスチャンスを見つけ、挑戦し続けていきたいと思っています。